【医師執筆】AGAや薄毛に対する日本人の意識とは?

執筆者 脇坂 長興 脇坂クリニック大阪 院長
脇坂クリニック大阪
脇坂 長興 院長

男女を問わず、AGAや薄毛に悩む人は年々増加しています。
これまで、欧米と比較すると、日本を含む東洋圏には薄毛が少ないといわれてきました。
実際はどうなのでしょうか?
また薄毛に対する捉え方には、メンタル的な要素や文化的背景などの「お国柄」が反映されやすいもの。
そこで今回は、日本人の毛髪の特性と、AGAや薄毛に関する意識について脇坂クリニック大阪の脇坂長興先生にお話を伺いました。

薄毛に悩む方は年々増加していますが、もちろん日本人だけの話ではありません。欧米人に比べて東洋人には薄毛が少ないという統計結果が一般的ですが、私自身は違いがないのではないかと思っています。日本国内でも、ストレスが多く不規則な生活をおくる都市部には薄毛が目立ち、地方には目立たないという話を聞くこともあり、一概に国や人種の違いであるとはいえないでしょう。

日本人には薄毛が目立ちやすい要因がある!?

一般的に、毛髪の本数は10万本といわれています。1平方センチメートルあたりの本数は、少ない方で110本、多い方で200本程度。本数の密度の違いは、毛髪の太さの違いにつながります。110本の方は極太、200本の方は極細で、140~150本の方が一般的な太さ(0.08mm)です。200本と毛髪本数が多いのは、欧米のブロンドの方に多く見られます。 一方、日本人は140本が平均的です。毛髪の本数が減ったり伸びなくなった場合、欧米人よりも太くて少ない日本人の毛髪の方が、より薄毛が目立ちやすい傾向があるといえます。 日本人と欧米人ではコラーゲンの質にも違いがあります。毛根を支えるコラーゲン層の違いが、頭皮環境の差となっているのかもしれません。また、髪の太さだけでなく、肌色と「黒髪」の色の対比も薄毛を目立たせる要因です。

顔の印象から「若さ」を決めるための重要なポイントに、こめかみの幅があります。日本人は顔が平面的で、こめかみ部分が薄くなってくると、顔の「額縁」がなくなった状態になります。すなわち正面から見たときに、顔の肌色の面積に対して黒い髪の面積が小さく見えるので、より薄毛が目立つのです。欧米人は顔に立体感があるため、こめかみの幅が広くなっても顔の広さが目立ちません。対して日本人の平面的な顔は、こめかみの幅が広くなることで年齢以上に老けた印象を与えてしまいます。このように、日本人は欧米人に比べて、薄毛に見えやすいマイナスの要素を多く持ち合わせているのです。 年齢を重ねることに対する考え方や価値観も、日本人に薄毛が多いと感じる理由の1つかもしれません。欧米人と比べると、日本人は年齢に応じた自己演出が苦手だったり、意識過剰になりやすい部分があります。例えば皮膚美容で診る患者さんの中には、加齢による肌の変化をまったく受け容れることが出来ない方が多くいます。20歳の頃の肌をそのまま維持したいと考え、自然なシワまで完全に消そうとする方も少なくありません。薄毛に対しても、同じように過剰な嫌悪感を抱く傾向があるのではないでしょうか。

AGAや薄毛への過剰反応には「客観的」な目を

他人の目を気にして、本来はあまり気にするほどの薄毛とはいえない状態にも関わらず、来院する方も多くいます。そんな方に多いのが「現在の自分は年相応ではない」という認識です。しかし、何歳であれば薄毛でもいいのかといえば、その基準は曖昧です。そういう患者さんには、写真を示して自分自身を客観的に見てもらっています。「自分であること」と「以前と比べてどうか」を考えずに、「この人と初めて会ったとして薄毛と思うか」を尋ねると、薄毛とはいえない状況の方のほとんどが「そうでもない」とご自身を判断されています。

AGA(男性型脱毛症)の分類として使われているハミルトン・ノーウッド分類でⅡvertexまでの患者さんは、髪型次第で薄毛を目立たなくすることは十分に可能なはずです。しかし、来院する患者さんの1/4が、このⅡvertex以下の方という現状もあります。もちろん、どうしても気になるのであれば、自分に自信を持って生きるためのツールとして『プロペシア』を処方してもらい、早い段階から予防していくことも1つの選択肢です。ただし、必ずしも治療を必要とする状態でないということは、専門医としての立場からきちんとお話しています。

もう1つ、AGAや薄毛に対する日本人の意識の問題点に「自分がどうなりたいのか」を考えないまま来院する人の多さが挙げられます。それは日本人の医療全体の問題点ともいえますが、治療選びの際に「先生にお任せします」といってしまう風潮があり、治療方針を医師に任せてしまっているのです。しかし、治療は患者さん自身が受けるものであり、選ぶのは患者さん自身でなくてはなりません。ですから私のクリニックでは、治療前の説明に多くの時間をかけています。通常の保険診療では、相談に時間をかけられず、結果的に医師が治療法を決めてしまうため、患者さんが「尋ねる」「選ぶ」姿勢が育たないという現状もあります。

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執筆者 脇坂 長興
脇坂クリニック大阪 院長
経歴
脇坂長興(わきさかながおき)
1962生まれ、形成外科医師
医学博士 日本形成外科学会専門医 麻酔科標榜医
医療法人翠奏会 脇坂クリニック大阪 院長
NPO法人 F.M.L.理事
聖マリアンナ医科大学医学部卒業。 同大学病院の形成外科で「スキン・リジュビネイション(皮膚の若返り)」を研究。治療法を医学的に論ずるよりも、患者さんが一番良くなる治療を提供することが形成外科医の使命であると考えている。
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病院名 脇坂クリニック大阪
住所 大阪府大阪市北区梅田3-3-20 明治安田生命大阪梅田ビル21階
最寄り駅 JR東海道本線(神戸線)(大阪~神戸)大阪

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